HOME > プロフィール > メッセージ

メッセージ

高原守氏

日本のみなさまへ

 メトロポリタン室内楽団として1979年に発足したニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルは今年創立30周年を迎えることとなりました。

   30年におよぶ活動を通じ、私のゆるぎない音楽哲学は、常に既成観念にとらわれないユニークな音づくりへの挑戦でした。この間、奈良の唐招提寺をはじめ、島根の出雲大社、広島の厳島神社、東京の明治神宮といった伝統的空間での演奏を経験し、スペシャルオリンピックを通じてかかわった障害者との音作り、地域の学校とのコラボレーションなど、たくさんの機会に恵まれました。そうした音楽の機会を通じて得たものは「心」と「奏でる」という二つの感動と喜びを聴衆のみなさまと共有することでした。

 また、ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルはその歴史の中で、若い優秀な音楽家の登竜門としての役割も持ち、大勢の優秀な演奏家、ソリストを輩出してまいりました。「若い音楽家のあるがままの感性を受け入れる」ことで、演奏家がより大きく育ち行くことは、指揮者としての大きな喜びでもあります。これからも、若い音楽家とともに、伝統にしばられない、常に進化する新しい音作りを続けてまいる所存です。

   今年もまた夏に大規模な日本ツアーをいたします。みなさまには日本各地でニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルとともに、音楽の喜びを感じていただければ幸いです。

2009年5月
ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル
音楽監督兼常任指揮者 高原守